ここ数日、夜になるとようやく秋の気配を感じるようになってきました。昨日の夜も、窓を開けて外の空気を吸い込むと、かすかに涼しい風が頬を撫で、どこからともなく虫の鳴き声が聞こえてきました。夏の盛り、昼間はまだまだ暑さが残りますが、それでも夜のひとときに感じる涼しさは、私たちの心と体を少し癒してくれます。
古本屋を営んでいると、こうした季節の移ろいを肌で感じることが多々あります。特に出張買取や荷物の運び出しなど、体を使う作業に携わるときには、天候や気温の変化が仕事の大変さに直結してきます。真夏の炎天下、気温が35度を超えるような中で大量の本を運び出すのは、想像以上に体力を消耗します。段ボールに詰まった本は一箱で数十キロになることも珍しくなく、それを何往復も繰り返すのですから、汗だくになるのはもちろん、息も上がります。
それでも、この仕事を続けているのは「本がつないでくれるご縁」と「本を必要とされる方の存在」があるからです。
出張買取で出会う人と本
先日も、あるご家庭から「蔵書整理をお願いしたい」とご連絡をいただきました。ご自宅に伺うと、長年集められてきた歴史書や文学全集が部屋いっぱいに並んでいました。依頼者の方は80代のご夫婦で、体力的にも整理が難しくなり、次の世代へ本を託す決断をされたそうです。
こうしたご依頼を受けるとき、私たちは単なる「物の移動」をしているのではなく、「想いの橋渡し」をしているのだと実感します。大切にされてきた本を、また必要とする誰かへとつなげる。その役割を果たせることに、古本屋としての誇りと責任を感じます。
荷物の運び出しは決して楽ではありません。しかし、昨日のように夜風が涼しくなってくると、「夏の山場を越えたな」という安堵感もあります。30度後半の暑さの中では一箱運ぶだけで汗が滝のように流れましたが、少し気温が落ち着くだけで、体の負担が全く違うのです。
本とともに季節を感じる
古本屋の仕事は、ただ本を査定して値段をつけるだけではありません。運び出し、仕分け、掃除、ネット出品の撮影や登録など、体力も根気も必要です。その中で季節の移ろいを感じる瞬間は、私にとってささやかな楽しみでもあります。
春先は、卒業や引っ越しに伴う蔵書整理のご依頼が増えます。新しい生活に向けて、長年の本を手放す方が多いのです。梅雨時期は湿気との戦いで、カビやシミを防ぐ工夫が欠かせません。そして真夏は、冒頭に触れたように体力勝負。秋になると、夜の虫の声を聞きながら「もうすぐ読書の季節だな」と感じます。冬は年末の大掃除に合わせた依頼が増え、本の一年のサイクルを共に歩んでいるように思えるのです。
これからの季節に向けて
秋から冬にかけては、本の需要も高まる季節です。涼しくなり、家でゆっくり読書を楽しむ方が増えてくるからです。私たち古本屋にとっても、動きやすい時期となり、出張買取のご依頼をよりスムーズにお受けすることができます。
「本を手放したいけれど重くて運べない」「どこから整理すればいいかわからない」――そんなお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。私たちはお客様のご自宅まで伺い、丁寧に査定し、運び出しまで責任をもって対応いたします。
本は単なる紙の束ではなく、知識や思い出の詰まった宝物です。その宝物を次の世代に受け渡すお手伝いをするのが、私たちの仕事です。
終わりに
昨日の夜、虫の鳴き声を聞きながら、「ようやく夏の終わりが近づいているな」と感じました。同時に、「これからまた本を通じて多くの方と出会える季節がやってくる」と思うと、胸が少し高鳴ります。
どんなに暑くても、どんなに重い本でも、その先には必ず新しい出会いがあります。季節が巡るように、本もまた巡っていきます。私たちはその循環の一部として、これからも誠実に本と向き合っていきたいと思います。
👉 出張買取・持ち込み買取のご相談は 不死鳥BOOKS までお気軽にどうぞ。
「少しでも楽になった」「頼んでよかった」と思っていただけるよう、全力で対応いたします。