こんにちは、不死鳥BOOKS&ANTIQUESの店主です。
今日も夏らしい暑さですが、空を見上げると薄い雲がふんわりかかっていて、真夏のギラギラした日差しが少しやわらいでいます。
こういう日って、気温は高くても、心なしか風がやさしく感じられるんですよね。
外に出ても、汗が出るのはもちろんですが、肌にあたる空気がちょっと涼しくて、思わず足を止めて深呼吸してしまいます。
お店のシャッターを開けると、昨日までよりもほんのり涼しい空気が入ってきました。
外はセミの声が相変わらず元気で、時折、近所の子どもたちの笑い声が混じって聞こえてきます。
夏はエアコンの効いた部屋で本を読むのもいいですが、風通しのいい縁側や庭先で、うちわを片手にページをめくるのもまた風情があります。
古本屋の朝は仕分けから
今朝は、先日仕入れした本の仕分けからスタートしました。
段ボールを開けると、文庫、新書、雑誌、単行本…と、ジャンルも年代もさまざま。
こうして1冊ずつ手に取ってみると、本はその人の人生を映す鏡のようだと感じます。
学生時代に読んだであろう教養書、趣味に没頭していた頃の専門書、旅の計画を立てるために買ったガイドブック…。
仕分け作業は地味ですが、私はこの時間がけっこう好きです。
背表紙を見て「おっ」と思う瞬間があるんです。
なかなか市場で見かけない絶版本や、装丁が美しい写真集、思わずページを開きたくなる児童書…。
古本屋をやっていると、こうした偶然の出会いが日常の中に散りばめられていて、それがまた面白いんですよね。
暑い季節と本の保管
夏の暑さは本にとっては少し過酷な季節です。
高温多湿は紙の大敵なので、お店でも除湿や空気の循環には気をつかっています。
本は、湿気を吸うと紙が波打ったり、カビが出たりしてしまいますから。
もしご自宅に長くしまい込んでいる本がある方は、ぜひこの時期に一度、棚から出して風を通してあげてください。
そして、もし「もう読まないかな」という本があれば、そのまま眠らせておくよりは、次に必要としている人の手に渡したほうが、本もきっと喜ぶはずです。
営業トークではないけれど
ここまで書いてきて、「あれ、なんだか営業っぽくなってきた?」と自分でも思いましたが、
実際、本の買取は私たち古本屋にとって日常の延長線上にあります。
「売ってください!」と大きな声で言うよりも、
「こんなふうに本を生かす方法もありますよ」とお伝えするほうが、しっくりくる気がします。
不死鳥BOOKS&ANTIQUESでは、文庫や単行本はもちろん、古い雑誌、趣味の本、児童書、学術書なども幅広くお取り扱いしています。
古本屋というと「状態が良くないと買ってもらえない」と思われがちですが、実際はそんなことはありません。
表紙が日焼けしていても、角が少しつぶれていても、中身がしっかりしていれば大丈夫な場合も多いです。
本がつなぐもの
古本屋をやっていて何よりうれしいのは、本を通して人と人がつながる瞬間です。
先日は、戦前の雑誌をお売りいただいたお客様がいました。
それを後日、探していたという若い方がご来店され、手に取ったときの目の輝きといったら…。
その雑誌は、きっとまた新しい物語の中で生き続けるんだろうな、と感じました。
本は持ち主が変わっても、ページの中の言葉は変わりません。
だけど、その言葉に触れた人の心は、そのときどきで変化します。
だからこそ、手放すことは決して終わりではなく、次の始まりなんです。
夏の午後に
夕方になると、店の前を自転車で通り過ぎる人の影が少し伸びてきます。
今日は夜には少し涼しくなりそうです。
店内では、先ほど仕分けた本の中から、古い文庫を1冊取り出して、ページをめくるとほんのり紙の匂いが漂いました。
この匂いを嗅ぐと、なんだか落ち着くんですよね。
もしこの夏、ご自宅で本棚を眺めて「そろそろ片付けようかな」と思ったら、ぜひ気軽にご相談ください。
営業トークではなく、日常の中で自然にそういう機会が生まれたらうれしいです。
本も人も、ちょっとした風通しが大事な季節。
今日も、お店の中でそんな時間が流れています。