本を売るという行為を、「整理」だと思っている方は多いかもしれません。
本棚がいっぱいになったから。
子どもが読まなくなったから。
置き場所がなくなったから。
確かに、それも理由のひとつでしょう。
ですが、16年古本屋を続けてきて感じるのは、本を手放すという行為は、単なる整理ではなく「継承」だということです。
本棚には、その人の人生が並んでいます。
若い頃に夢中で読んだ文学全集。
仕事に必要で揃えた専門書。
子どもに読み聞かせた絵本。
何度もページを開いた跡のある一冊。
それらはただの紙の束ではありません。
その人が過ごしてきた時間そのものです。
「捨てる」のと「売る」のは、まったく意味が違います。
捨てれば、そこで終わりです。
ですが売れば、次の誰かの本棚へとつながっていきます。
先日、80代のご夫婦が長年集めてきた蔵書をお持ち込みくださいました。
「誰か読んでくれる人がいるなら、それが一番うれしい」
そうおっしゃっていた言葉が印象に残っています。
それは処分ではなく、バトンを渡すような感覚でした。
古本屋は、物を右から左へ動かしているだけではありません。
誰かの知識や想いを、次の誰かへつなぐ仕事です。
本を売るということは、
過去を手放すことではなく、未来へ託すこと。
もし今、本棚を見て悩んでいるなら、
それは「整理」ではなく「継承」の準備かもしれません。
岡山の小さな古本屋から、
今日も大切に次の持ち主へ橋渡しをしています。
大量の蔵書整理もご相談ください。出張買取も対応しています。
