「そろそろ本棚を空にしたい」
そんな日が、誰にでもあると思います。
引っ越しをするとき。
実家を片付けるとき。
部屋を広く使いたくなったとき。
あるいは、読まなくなった本が増えてきて、気持ちまで少し重たく感じるようになったとき。
本棚を見渡して、「もう思い切って処分しようかな」と考えるのは、とても自然なことです。
実際、本は気がつくと増えていきます。買ったまま読めていない本、昔は夢中で集めていた本、子どもが読んでいた本、仕事のために必要だった本。どれもその時々には必要だったのに、時間がたつと今の暮らしには合わなくなることがあります。
だから、本棚を空にしたいと思うこと自体は、決して悪いことではありません。
むしろ、暮らしを整えたい、気持ちを切り替えたいという前向きな動きのひとつだと思います。
ただ、そのときにひとつだけ考えてほしいことがあります。
それは、「捨てる」と決める前に、一度だけでも見直してみることです。
本は、見た目だけでは分からないことが意外と多い品物です。
古いからダメ、新しくないからダメ、少し汚れているからダメ、と一概には言えません。
反対に、きれいで新しそうに見えても、流通量が多くて値段がつきにくい本もあります。
たとえば、揃いものの全集や文学作品、歴史書、郷土史、趣味の本、昭和の雑誌、専門書、絶版になった本などは、「古いから処分でいい」と思われがちですが、まとめて見ると意味が出ることがあります。
一冊ずつでは判断しにくいものでも、まとまりがあることで次に必要とする人へつながる場合があります。
また、ご本人にとっては「こんなもの」と思っている本でも、他の人から見ると「探していた本」ということがあります。
昔のアイドル雑誌、車やバイクの資料、手芸や園芸の古い実用書、戦記、宗教関係、郷土資料、学術書、児童書のシリーズものなどは、意外な形で次の読み手が待っていることがあります。
本棚を空にしたい日というのは、たいてい時間にも追われています。
今日のうちに片付けたい。
家族に急かされている。
引っ越し日が近い。
業者が来る前に場所をあけたい。
そういう状況では、どうしても「とにかく早く減らしたい」という気持ちになります。
その気持ちはよく分かります。
ですが、そこで全部をひとまとめにして資源ごみへ出してしまう前に、ほんの少しだけ立ち止まる価値はあります。
なぜなら、本の整理は「捨てるか残すか」だけではないからです。
「必要な人へ渡す」という選択肢もあります。
読まなくなった本でも、誰かにとってはこれから読む本かもしれません。
もう役目を終えたと思っていた本が、別の場所でまた読まれることもあります。
古本屋の仕事をしていると、本棚にはその人の時間がそのまま並んでいると感じることがあります。
若いころに集めた文学。
仕事で使った専門書。
子どものために買った絵本。
趣味に熱中していた時期の雑誌やムック本。
本棚を見れば、その人が何に心を動かされ、どんな時間を過ごしてきたかが少し伝わってきます。
だからこそ、本棚を空にする日は、ただの処分の日ではなく、一区切りの日でもあります。
その一区切りを、全部「ごみ」として終わらせてしまうのは、少しもったいないこともあります。
もちろん、すべての本に値段がつくわけではありません。
状態や内容、需要によってはお引き受けが難しいものもあります。
ですが、それでも「見てもらってから決める」のと、「最初から捨ててしまう」のとでは大きな違いがあります。
特に、本が大量にある場合は、一冊ずつ自分で判断しようとするとかなり大変です。
分別も必要ですし、運び出すだけでも重労働です。
そんなときは、無理に全部を自分で抱え込まず、古本屋に相談することで整理が進みやすくなることがあります。
持ち込みできる量なら持ち込みで。
運ぶのが難しい量なら出張で。
遠方で少量なら宅配で。
方法はいくつかあります。
「こんな本でも相談していいのかな」
「値段がつくか分からない」
「汚れやヤケがある」
そう思うものでも、まず相談していただくことで道筋が見えることがあります。
本棚を空にしたい日は、部屋を広くしたい日でもあり、気持ちを軽くしたい日でもあると思います。
だからこそ、勢いだけで全部を捨ててしまう前に、一度だけ思い出してほしいのです。
この本は、本当に捨ててしまっていいのか。
誰かに手渡す形の整理はできないか。
まとめて見てもらった方が早く、気持ちよく片付くのではないか。
不死鳥BOOKSでは、こうした本の整理のご相談を受けています。
大量の蔵書整理、実家の片付け、引っ越し前の本の整理、古い本や専門書のご相談も歓迎です。
本棚を空にしたい日こそ、捨てる前に一度ご相談ください。
ただ減らすだけではなく、次につなぐ形で本棚を空にする。
そのお手伝いができればうれしく思います。
