売るつもりはなかった本を、手放した理由。―80代のご夫婦の蔵書より―

先日、80代のご夫婦のお宅へ出張買取に伺いました。

玄関を開けていただくと、廊下の奥に本棚がずらりと並んでいました。
文学全集、哲学書、歴史書、専門書…。長い年月をかけて集められた蔵書です。

「本当はね、売るつもりはなかったんですよ」

ご主人がそう言われました。

若い頃から少しずつ買い集め、退職後も読み続けてきた本。
ページの端には小さな書き込みや付箋があり、
何度も読み返してきたことが伝わってきました。

「でもね、もう全部は読めない。
 このまま置いておくより、誰かが読んでくれた方がいい」

その言葉が、とても印象的でした。

本はモノですが、
そこには時間や思い出、人生の一部が詰まっています。

だから私は、
ただ“値段をつける”のではなく、
次に必要とする人へ橋渡しをするつもりで買い取らせていただいています。

市場では、いま専門書や古い全集の需要があります。
デジタルでは得られない「当時の空気」や「初版の価値」を求める方が
確実に存在します。

今回お譲りいただいた蔵書も、
きっとまた誰かの本棚に並び、
新しい時間を刻んでいくはずです。

最後にご主人が言われました。

「本がまた読まれるなら、それで十分です」

その言葉に、
古本屋を続けてきてよかったと、あらためて感じました。

読まなくなった本は、不要なものではありません。
誰かの“これから”になるかもしれない一冊です。

不死鳥BOOKSでは、
本の量やジャンルに関わらず、
一冊一冊を丁寧に拝見しています。

もし、
「売るつもりはないけれど少し気になっている」
そんな本棚がありましたら、
いつでもご相談ください。

本は、また羽ばたくことができます。




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